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探偵少年(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物

黄金のトラを隠せ、探せ

  • ミステリ
  • 冒険

江戸川乱歩 1955年(昭和30年)9月 「読売新聞」

文字数
43,279字
読了目安
約1時間27分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

江戸川乱歩が1955年(昭和30)9月から12月まで「読売新聞」に連載した、少年探偵団ものの長編。怪盗との対決ではなく、少年探偵団と、変わり者の金持ち「魔法博士」との知恵くらべが骨子になる。宝物の「黄金のトラ」を、一方が隠し、もう一方が見つけ出すというゲームで、ロボットや空中に浮かぶ首といった魔法めいた演出と、少年たちの機転が交互に描かれる。命にかかわる悪事が起こらない、明るい冒険譚として読める。

あらすじ

明智探偵の少年助手・小林芳雄団長と、おくびょうだがあいきょうもののノロちゃんは、千代田区の屋敷町でぶきみな人造人間に出くわす。ロボットが消えたあと、空中に浮かぶ白ひげの老人の首があらわれ、やがて本物の老人の姿になる。老人は、ふたりの度胸をたたえて、「黄金のトラ」を使った知恵くらべを申しこむ。ロボットが襲っていたように見えた女の子も、老人の友だちの娘が演じていたのだった。老人は雲井良太という金持ちの変わりもので、明智も承知のうえと聞いた小林団長は、勝負を受ける。まず少年たちが黄金のトラを、元ボクサーの父をもつ井上君の家に隠すと、魔法博士は魔法のような手口で見つけ出してしまう。次は魔法博士が隠す番で、少年探偵団は奥多摩の鍾乳洞を探検するが、ひもを切られたり、トラが飛びかかったりと、奇怪な試練に出会う。少年たちは知恵をしぼって黄金のトラを取り戻し、今度はセトモノ屋の店先に隠して魔法博士を待ちぶせる。ところが小林少年は、変装して魔法博士の隠れがを探ろうとして捕らえられ、牢屋に入れられる。それでも小林少年は牢の中から、ひもで合図を送って仲間の木村少年に指示を出し、博士の西洋館から黄金のトラを取り戻した。博士は負けを認め、少年たちを祝福する。

登場人物

冒頭部(原文より)

 ある夕方、千代田区の大きなやしきばかりのさびしい町を、ふたりの学生服の少年が、歩いていました。大きいほうの十四―五歳の少年は、名探偵明智小五郎の少年助手として、また、少年探偵団の団長として、よく知られている小林芳雄君でした。もうひとりの少年は、少年探偵団の団員で、小学校六年生の野呂一平君という、おどけものの、おもしろい少年です。 「なにか、すばらしい事件がおこらないかなあ。怪人二十面相も、ひさしくあらわれないし、ぼく、このうでが鳴ってしかたがないよ。」  ノロちゃんは、うでをさすりながら、いいました。ノロちゃんというのは、野呂一平君の愛称なのです。

「探偵少年」江戸川乱歩(青空文庫)

末尾部(原文より)

 小林君が、説明をおわりますと、魔法博士は、ひざをたたいて感心しました。 「えらいっ! おとなもおよばぬ知恵だっ。わしの負けだよ。黄金のトラは、少年探偵団のものだ。なお、ねんのために、わしから明智探偵に電話をかけることにしよう。少年探偵団が勝ちました。おめでとうと、いっておくよ。」  それから数時間ののち、明智探偵事務所の前に、にこにこ顔の明智探偵と、十数名の少年探偵団員が立ちならんで待ちかまえていました。そこへ、もとの学生服にかえった小林少年と、木村少年とが、手をひきあって、もどってきました。 「少年探偵団ばんざーい、小林団長ばんざーい。」  少年たちは、いっせいに、両手をあげて、声をかぎりにさけぶのでした。

「探偵少年」江戸川乱歩(青空文庫)

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