探偵小説の「謎」(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
密室、顔のない死体、意外な犯人
- ミステリ
- 文字数
- 117,733字
- 読了目安
- 約3時間55分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
江戸川乱歩が古今東西の探偵小説を読み尽くしたうえで、そのトリックを体系的に分類・解説した評論集。密室、意外な犯人、顔のない死体、暗号、プロバビリティーの犯罪——本書のために書き下ろされた「密室トリック」をはじめ、ミステリの仕掛けを愛好家の熱をこめて語り尽くす。作家であると同時に世界屈指の探偵小説研究家であった乱歩の面目躍如たる一冊。
あらすじ
「社会思想研究会出版部のすすめによって、私の随筆の中から、探偵小説のトリックを解説したものを集めてみた」——序で乱歩は、別に書いた「類別トリック集成」が項目書きで一般向きでないため、それを噛みくだいた随筆を集め、新たに「密室トリック」三十五枚を書き下ろして一書に仕立てたと説明する。収められた各篇は、八百余のトリックを九つの大項目に分けた「集成」の骨格に沿って並ぶ。犯人の人間に関するトリック(一人二役、意外な犯人)、犯罪現場と痕跡(密室・足跡・指紋)、犯行の時間、兇器と毒物、人及び物の隠し方、その他。「密室トリック」では、ポーの「モルグ街の殺人」からカーやチェスタトンに至る密室物を渉猟し、機械的な仕掛け、被害者自身による偽装、時間の錯覚といった型に整理してみせる。「顔のない死体」「変身願望」「異様な犯罪動機」では、犯罪心理の側から謎の構造が語られ、「明治の指紋小説」「原始法医学書と探偵小説」では日本の近代における探偵小説の萌芽が掘り起こされる。「魔術と探偵小説」「スリルの説」など類縁の随筆も収められ、巻末には「類別トリック集成」の目次が参考として付されている。トリックの分類学であると同時に、探偵小説という文学形式への熱烈な愛の書である。
冒頭部(原文より)
序――この本のなりたち 社会思想研究会出版部のすすめによって、私の随筆の中から、探偵小説のトリックを解説したものを集めてみた。トリックについては、私は別に「類別トリック集成」(早川書房版『続幻影城』に収む)というものを書いているが、これは探偵小説に慣れた人々のための項目書きのようなもので、一般の読み物としては不適当なので、本書にはその目次のみを参考として巻末に加え、内容全部はのせなかった。
「探偵小説の「謎」」江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
「類別トリック集成」は八百余の各種トリックを九つの大項目にわけて解説したものだが、それらの項目と本書の随筆との関係を左にしるして御参考に供する。これには巻末の「類別トリック集成」目次を参照されたい。
「探偵小説の「謎」」江戸川乱歩(青空文庫)
原文を読む
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