手紙 二(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
ガンジスを逆流させた女
- 古典
- 文字数
- 926字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
賢治が残した「手紙」の連作の一つ。インドの伝承に取材し、ガンジス河を逆流させた娼婦ビンズマティーの話を、やさしい口調で語り直す。まことの力は身分や行いによらないという仏教説話で、賢治の信仰と童話が重なる。短い草稿だが、のちの作品に通じる主題が読み取れる。
あらすじ
ガンジス河が増水して激しく流れていたあるとき、群集のなかにアショウカ大王が立っていた。大王は家来に、この大河をさかさまに流せる者はいるかとたずねるが、家来たちはみな不可能だと答える。群集のなかにいたビンズマティーという身分の低い職業の女が、その問いを聞き、私のような卑しい者でさえできるまことの力を王にお目にかけようと、まごころをこめて河に祈る。すると幅一里近い大河がたちまち逆に流れはじめる。驚いた大王が女のもとへ歩み寄り、どうしてそちにそんな力があるのかとたずねると、女は、まことの力によるのだと答える。
冒頭部(原文より)
印度のガンジス河はあるとき、水が増して烈しく流されていました。 それを見ている沢山の群集の中に尊いアショウカ大王も立たれました。 大王はけらいに向って「誰かこの大河の水をさかさまにながれさせることのできるものがあるか」と問われました。
「手紙 二」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
「陛下よ。私は私を買って下さるお方には、おなじくつかえます。武士族の尊いお方をも、いやしい穢多をもひとしくうやまいます。ひとりをたっとびひとりをいやしみません。陛下よ、このまことのこころが今日ガンジス河をさかさまにながれさせたわけでございます」
「手紙 二」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。