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虎の牙(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物

魔法博士と虎の恐怖

  • ミステリ
  • 冒険

江戸川乱歩 1950年(昭和25年)1月 「少年」

文字数
95,542字
読了目安
約3時間11分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

戦後の江戸川乱歩が光文社の月刊誌「少年」に1950年(昭和25)の1年間連載した、少年探偵団ものの長編。黄色と黒のまだらの髪をした奇妙な紳士「魔法博士」が洋館に越してきたところから、少年たちが次々と消えていく。名探偵・明智小五郎と助手の小林少年が、魔術や虎の恐怖をたねに仕掛けられた謎に挑む。奇術の舞台、鏡の部屋、地下道や塔といった舞台装置が連続する、少年向け冒険活劇の定型を味わえる一作。

あらすじ

春の日曜日、小学六年生の天野勇一は、広っぱで野球をしていたところ、黄色と黒のまだらの髪をした奇妙な紳士に出会う。紳士は近所の赤レンガの洋館に越してきた「魔法博士」で、勇一と小林少年たちを「ふしぎの国」と呼ぶ魔術の館へ招く。ところが博士の大魔術の舞台で、寝台に寝かされた勇一は宙に浮いたまま舞台から消えてしまう。その夜、洋館の壁をはう黒い獣が現れ、やがて各地で虎の影、虎の歯がたの跡が見つかり、少年たちは虎の幻に誘われて次々とさらわれていく。小林少年も怪老人に捕らえられ、とじこめられた部屋から助けを求める手紙を飛ばして明智に知らせる。魔法の鏡の仕掛けやにせ警官の策略に翻弄された明智は、やがて魔法博士の魔術のたねを見抜く。虎には本物と作り物があり、塔の上の怪人はゴム人形だった。博士の正体は怪人二十面相だと明らかになり、地下道や塔を使って逃げる二十面相を、明智と警察が追いつめる。最後は明智に化けて逃走した二十面相を小林少年の機転がとらえ、車は警視庁へ向かう。

登場人物

冒頭部(原文より)

 このふしぎなお話は、まず小学校六年生の天野勇一君という少年の、まわりにおこった出来事からはじまります。  その出来事というのは、一つはたいへんゆかいな、おもしろくてたまらないようなこと、もう一つは、なんだかゾーッとするような、えたいのしれないおそろしいことでした。  ある春の日曜日、天野勇一君は、おうちのそばの広っぱで、野球をして遊んでいました。場所は東京の世田谷区の、ある屋敷町です。広いおうちのならんだ、屋敷町に、むかしながらに森のある八幡さまのお社がのこっていて、その前に野球のできるような広っぱがあるのです。

「虎の牙」江戸川乱歩(青空文庫)

末尾部(原文より)

 小林少年はもうゆかいで、たまりませんでした。明智先生といっしょに、怪人二十面相の両手をとって、あの石段をのぼり、捜査課長と係長に、ひきわたす時のありさまを考えると、うれしさに胸がドキドキしてきました。 「明智先生、バンザーイ。」  小林君は思わず、心の中で、そうさけばないではいられませんでした。

「虎の牙」江戸川乱歩(青空文庫)

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