鳥をとるやなぎ(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
鳥を吸い込む楊の木の噂
- 幻想
- 青春
- 文字数
- 4,334字
- 読了目安
- 約9分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。「鳥を吸い込むエレキの楊の木がある」という噂を聞いた二人の少年が、煙山の河原へ探しに行き、もずの群れが木に落ちるのを見て、不思議な気持ちになる。語り手が大人になった今も、あの木の力を信じてしまう余韻が残る。
あらすじ
尋常四年の二学期のはじめ、藤原慶次郎が「煙山にエレッキの楊の木があるよ」と語り手に言う。馬を引いた人が、鳥を吸い込む楊の木があると言っていたのだという。二人は昼すぎに権兵衛茶屋の脇を通り、煙山の野原を抜けて、毒ヶ森から流れる川の河原へ向かう。古い楊が何本も並んでいるが、鳥は来ない。風が吹くと楊の葉は灰色に変わって、ブリキのように見えた。やがて、向こうの木から百匹ばかりのもずが飛び立ち、五本目の楊の中に一度に落ち込む。二人は吸い込まれたのかと思って石を投げると、もずは鳴いて飛び上がる。それからも、もずは楊の中へ落ちて行くが、二人はどれも死んではいないと知る。二人は、ほんとうの木は別の場所にあるはずだと言い合うが、野原を何度も探すうちに気持ちが悪くなり、帰ることにする。しかし語り手は、今でも楊の木に鳥を吸い込む力があると思えてならない。
登場人物
- 私 語り手。藤原慶次郎の友だち
- 藤原慶次郎 楊の木の噂を持ちこむ同級生
冒頭部(原文より)
「煙山にエレッキのやなぎの木があるよ。」 藤原慶次郎がだしぬけに私に云いました。私たちがみんな教室に入って、机に座り、先生はまだ教員室に寄っている間でした。尋常四年の二学期のはじめ頃だったと思います。
「鳥をとるやなぎ」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
「もうだめだよ。帰ろう。」私は云いました。そして慶次郎もだまってくるっと戻ったのでした。 けれどもいまでもまだ私には、楊の木に鳥を吸い込む力があると思えて仕方ないのです。
「鳥をとるやなぎ」宮沢賢治(青空文庫)
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