塔上の奇術師(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
時計塔の赤い道化師
- ミステリ
- 冒険
- 文字数
- 75,091字
- 読了目安
- 約2時間30分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
江戸川乱歩が講談社の少女雑誌「少女クラブ」に1958年(昭和33)の1年間連載した、少年探偵団ものの長編。花崎マユミと同級生の少女たちが、屋根の上に立つこうもり男、時計塔にあらわれる赤い道化師、屋敷のあちこちに記される数字という、奇怪な出来事に出会う。少女探偵を中心にすえた作品で、時計塔の秘密を、壁の厚みから推理する場面が見どころ。明智探偵・小林少年・少年探偵団も加わり、怪人四十面相との知恵くらべに発展する。
あらすじ
明智探偵の少女助手・花崎マユミは、中学一年の淡谷スミ子と森下トシ子とともに世田谷の原っぱを散歩していて、時計塔の屋根に立つこうもり男を目撃する。淡谷家には先祖伝来の宝石箱があり、怪人四十面相は宝石を盗むと予告する。淡谷邸は小林少年と刑事に守られるが、四十面相は一郎青年にそっくりに変装して家に入りこみ、約束の十時、書斎から消える。しばらくして、スミ子ちゃんが赤い道化師を見たのをきっかけに姿を消し、淡谷氏は宝石を持って、金ぴかの部屋で四十面相と取引することになる。さらに近所の時計塔のある西洋館に住む園田ヨシ子の周りでも、家の中に数字が次々とあらわれ、そのカウントダウンは九月二十日を示していた。小林少年は、時計塔の壁の厚さを測って秘密の出入り口を推理し、塔の地下に隠された部屋を見つけだす。地下室では替え玉が次々とあらわれて混乱するが、小林少年は四十面相が逃げこんだ金色の壁のかくし戸を見つける。四十面相は原っぱでヘリコプターに乗りこんで空へ逃げたつもりだったが、操縦席の部下はすでに明智探偵の仲間のにせ者で、明智探偵がかくれていた。四十面相は、警視庁のパトロールカーが待つ原っぱへ下ろされる。
登場人物
- 花崎マユミ 明智探偵の少女助手
- 淡谷スミ子 中学一年の少女
- 園田ヨシ子 時計塔のある屋敷の少女
- 小林芳雄 少年探偵団の団長
- 明智小五郎 名探偵
- 四十面相 変装を得意とする怪人
冒頭部(原文より)
ある夕がた、名探偵明智小五郎の少女助手、花崎マユミさんは、中学一年のかわいらしい少女ふたりと手をとりあって、さびしい原っぱを歩いていました。 畑があったり、林があったり、青い草でふちどられた小川がながれていたり、その上にむかしふうの土橋がかかっていたりして、まるで、いなかのようなけしきですが、ここは、いなかではなく、東京都世田谷区のはずれなのです。 マユミさんにつれられているふたりの少女は、淡谷スミ子と森下トシ子という、おなじ中学の同級生で、淡谷さんのおうちがこの近くにあるので、きょうはマユミねえさまと森下トシ子ちゃんをおまねきして、三人で、この原っぱへさんぽに出たのです。
「塔上の奇術師」江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
そのとき、警官たちをかきわけるようにして、時計やしきの主人の園田さんが、明智探偵に近づいてきました。うしろに丈吉少年もついています。 園田さんは、明智探偵と小林少年の手をにぎって、お礼をいっています。そのそばに、中村警部のにこやかな顔。 「明智先生ばんざい。」 「小林団長ばんざい。」 「少年探偵団とチンピラ隊ばんざい。」 いつのまにか、明智探偵のまわりを、とりかこんでいた、チンピラ隊の少年たちが、声をそろえて、ばんざいを叫ぶのでした。
「塔上の奇術師」江戸川乱歩(青空文庫)
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