月夜のけだもの(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
獅子大王の夜まわり
- 幻想
- 文字数
- 4,549字
- 読了目安
- 約9分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
宮沢賢治の童話。十日の月の夜、動物園の獅子の檻の前で居眠りした「わたくし」が夢に見る、獅子大王の夜の見回り。フロックコート姿の獅子が、白熊・狐・狸を叱ったり裁いたりし、象に狐の教育を頼む。動物たちが人間の社会のように描かれ、とぼけた会話に風刺がにじむ。
あらすじ
十日の月が沈むまであと一時間という夜、動物園の獅子の檻の前のベンチに座る「わたくし」は、ぼうっとして夢の中へ入っていく。獅子はフロックコートを着て、ステッキを手に夜の見回りに出る。象の弟子になろうと走る白熊、鶏を狙う悪さの絶えない狐、立ち聞きをしていながら「さうかな」ととぼける狸に出会い、獅子はそれぞれを叱り、裁く。狸は無罪にしてやるが、狐は毛をむしる罰を言い渡される。ところが猿の係の名を聞いて泣きつく狐を哀れに思い、獅子は象に狐の教育を頼み、教育料を自分の財布から払う。白熊は鼻を引っ張る象から逃げて獅子のうしろに隠れる。そこで目が覚めると、十日の月はちょうど山に入るところで、檻の狐はくしゃみをして歩き回っていた。
登場人物
- 獅子 夢の中で大王として見回る動物園の獅子
- 狐 悪さが絶えず、獅子に叱られる
- 白熊 象の弟子になりたがる
- 狸 立ち聞きをしてもとぼけてみせる
- 象 鼻の長い教師役
冒頭部(原文より)
十日の月が西の煉瓦塀にかくれるまで、もう一時間しかありませんでした。 その青じろい月の明りを浴びて、獅子は檻のなかをのそのそあるいて居りましたが、ほかのけだものどもは、頭をまげて前あしにのせたり、横にごろっとねころんだりしづかに睡ってゐました。夜中まで檻の中をうろうろうろうろしてゐた狐さへ、をかしな顔をしてねむってゐるやうでした。 わたくしは獅子の檻のところに戻って来て前のベンチにこしかけました。
「月夜のけだもの」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
獅子は葉巻をくはへマッチをすって黒い山へ沈む十日の月をじっと眺めました。 そこでみんなは目がさめました。十日の月は本当に今山へはひる所です。 狐も沢山くしゃみをして起きあがってうろうろうろうろ檻の中を歩きながら向ふの獅子の檻の中に居るまっくろな大きなけものを暗をすかしてちょっと見ました。
「月夜のけだもの」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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