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やまなし(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

「クラムボンはわらったよ」

  • 幻想

宮沢賢治 1923年(大正12年)4月 「岩手毎日新聞」

文字数
2,634字
読了目安
約5分
表記
新字新仮名

この作品について

宮沢賢治が1923年(大正12年)、「岩手毎日新聞」に発表した短編童話。「小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈」と題して、谷川の底に暮らす二匹の蟹の子供の目を通して、「五月」と「十二月」の二つの情景を描く。「クラムボンはわらったよ」の謎めいた一節や、突然の死の影と、静かな豊穣の喜びとが、みずみずしい色彩とオノマトペで結晶した、賢治童話のなかでもとりわけ愛され、教科書でも親しまれてきた名作である。

あらすじ

谷川の底の、二匹の蟹の子供らの物語を、賢治は「二枚の青い幻燈」として映し出す。――「五月」。青白い水の底で、二匹の蟹の子供が「クラムボンはわらったよ」「クラムボンは死んだよ」と、たわいのない言葉をかわしている。そこへ突然、鉄砲玉のように光るものが水中に飛び込み、魚の姿が見えなくなる。父蟹はそれが翡翠(かわせみ)だと教える。おだやかな水の世界に、不意に死の恐怖がよぎる。――「十二月」。蟹の子供らはもうだいぶ大きくなっている。月夜の水の底に、とぷんと音を立てて落ちてきたのは、熟した山なし(やまなし)の実だった。いいにおいのするその実は、しばらく流れていって、やがて木の枝にひっかかって止まる。二日ほど待てば実が沈み、やがておいしいお酒ができるだろう――父蟹はそう言って子らをなだめる。青じろい焔をゆらめかせる波の下で、蟹の親子は静かな豊かさに包まれる。「私の幻燈はこれでおしまいであります」。生と死、恐怖と恵みとが、みずみずしい色彩と音のなかに描き分けられた、賢治童話の代表作である。

登場人物

冒頭部(原文より)

 小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です。 一、五月  二疋の蟹の子供らが青じろい水の底で話していました。 『クラムボンはわらったよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』

「やまなし」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

 波はいよいよ青じろい焔をゆらゆらとあげました、それは又金剛石の粉をはいているようでした。         *  私の幻燈はこれでおしまいであります。

「やまなし」宮沢賢治(青空文庫)

名文

二疋の蟹の子供らが青じろい水の底で話していました。 『クラムボンはわらったよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』

谷川の底を「二枚の青い幻燈」として描く童話の一場面。正体の知れない「クラムボン」という語だけで、幼い蟹たちの世界が鮮やかに立ち上がる。

私の幻燈はこれでおしまいであります。

二枚の青い幻燈として語られた物語の結び。語り手が幕を引くことで、蟹の親子の世界がふっと遠のいていく。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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