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よく利く薬とえらい薬(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

透きとおるばらの実

  • 幻想

宮沢賢治 

文字数
3,837字
読了目安
約8分
表記
新字旧仮名

この作品について

宮沢賢治の童話。病気の母のために毎日森へばらの実を採りに行く少年清夫と、同じ薬を欲しがる欲深い大三を対比した話。森の鳥たちが清夫に声をかける節回しのくり返しが耳に残り、二人の結末が短い語りのなかで鮮やかに分かれる。

あらすじ

清夫は、病気の母のために毎日森の空き地へばらの実を採りに行く。つぐみ、ふくろう、よしきりが決まって声をかけ、清夫は笑って応える。ある日、実はいつまでも籠の底がかくれず、疲れて口にした一粒が、体も空も澄みわたるような不思議な実だった。透きとおったそれを持ち帰って飲ませると、母はすっかり元気になる。評判を聞いた町の大三は、にせ金使いで象のように太り、頭のぼんやりと息切れを治す薬を求めて、百人を連れて森へ探しに来る。鳥たちに太ったことをからかわれて怒るが、透きとおった実は見つからない。大三は普通のばらの実十貫をにせ金製造場のるつぼに入れ、ガラスのかけらと水銀と塩酸を加えて焼き、できた透明なものを飲んで死ぬ。それは猛毒の昇汞だった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 清夫は今日も、森の中のあき地にばらの実をとりに行きました。  そして一足冷たい森の中にはひりますと、つぐみがすぐ飛んで来て言ひました。 「清夫さん。今日もお薬取りですか。  お母さんは どうですか。  ばらの実は まだありますか。」  清夫は笑って、 「いや、つぐみ、お早う。」と言ひながら其処を通りました。  其の声を聞いて、ふくろふが木の洞の中で太い声で言ひました。

「よく利く薬とえらい薬」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

 それからにせ金製造場へ自分で降りて行って、ばらの実をるつぼに入れました。それからすきとほらせる為に、ガラスのかけらと水銀と塩酸を入れて、ブウブウとふいごにかけ、まっ赤に灼きました。そしたらどうです。るつぼの中にすきとほったものが出来てゐました。大三はよろこんでそれを呑みました。するとアプッと云って死んでしまひました。それが丁度そのばんの八時半ごろ、るつぼの中にできたすきとほったものは、実は昇汞といふいちばんひどい毒薬でした。

「よく利く薬とえらい薬」宮沢賢治(青空文庫)

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