四又の百合(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
正遍知を迎える朝の百合
- 幻想
- 文字数
- 2,719字
- 読了目安
- 約5分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。正遍知(仏)がまもなく町にやって来ると聞いた王が、町の人々と準備を整え、百合の花を探して一人の子供と出会う。仏教的な世界の物語で、短い中に、王や大臣、子供の姿が静かに描かれる。
あらすじ
ハームキャの町に、正遍知があしたの朝、ヒームキャの河を渡ってこの町にいらっしゃるという噂が広がる。人々は子供のようにいそいそと家と通りを掃除し、噂は王宮にも伝わった。王は食事の用意や千人の宿の造営を命じ、翌朝はみずから河岸へ迎えに出ようと決める。王は正遍知に百合の花をささげたいと言い、大蔵大臣が林へ探しに行く。林の陰の家の前で、はだしの子供が十の花のついた百合の茎を持っていた。大臣は紅宝玉の首かざりと引きかえに買おうとするが、子供は正遍知にあげると聞いて手放したがらない。結局、お前もあとについて城へおいでと言われて、子供は百合を渡す。大臣から百合を受けとった王がうやうやしくいただくと、川の向こうの林にかすかな黄金色がのぼり、みんなは地にひれふした。
登場人物
- 王 正遍知を迎える王
- 大蔵大臣 百合の花を探しに行く
- 子供 百合を持つはだしの子供
冒頭部(原文より)
「正遍知はあしたの朝の七時ごろヒームキャの河をおわたりになってこの町にいらっしゃるそうだ」 こう言う語がすきとおった風といっしょにハームキャの城の家々にしみわたりました。 みんなはまるで子供のようにいそいそしてしまいました。なぜなら町の人たちは永い間どんなに正遍知のその町に来るのを望んでいたかしれないのです。それにまた町からたくさんの人たちが正遍知のとこへ行ってお弟子になっていたのです。
「四又の百合」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
川の向こうの青い林のこっちにかすかな黄金いろがぽっと虹のようにのぼるのが見えました。みんなは地にひれふしました。王もまた砂にひざまずきました。 二億年ばかり前どこかであったことのような気がします。
「四又の百合」宮沢賢治(青空文庫)
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