四年間(山本周五郎)のあらすじ・登場人物
死を宣告された男の切実な日々
- 心理
- 文字数
- 18,152字
- 読了目安
- 約36分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
山本周五郎が1946年(昭和21年)、「新青年」に発表した小説。治りにくい病に冒された青年・信三と、彼を支える昌子。死の影のさすなかで、二人が寄り添って生きる姿を、静かな筆致で描く。
あらすじ
若い医者が、信三の症状に手を焼いていた。三度のX線写真、各種の血液・尿検査を経ても、どんな言葉で診断を告げてよいか迷う——それほど、信三の病は重く、治癒の困難なものだった。額に汗をにじませる若い医者の困惑の表情から、信三は自らの運命を静かに悟る。死の影がさしはじめた日々のなかで、信三には昌子という、心を寄せる女性がいた。「わたくしをひとりになさらないでくださいまし」とすがる昌子に、信三は静かに語りかける。「今夜のために取って置いたシャンパンがあるんだ、もうその機会もあるまいと思っていたが、役に立った、二人だけで祝おう」——。限られた時間のなかで、なお前を向いて生きようとする二人の姿を、抑えた筆致で描いた、山本の一編である。
登場人物
- 信三 重い病に冒された青年
- 昌子 信三に寄り添う女性
冒頭部(原文より)
「ここはどうです、痛みますか」 医者はそう云いながら静かにゾンデを動かした、 「やっぱり痛まない、そう……ここはどうです」 信三は医者の顔を見ていた。まだ若くて臨床の経験には浅いようだ、治癒の困難な症状に当たるとそれが表情にあらわれずにいない、今も彼の額には汗がにじみ出ているし、さりげない態度をとろうとしながら困惑の色が隠しきれなかった。
「四年間」山本周五郎(青空文庫)
末尾部(原文より)
「……わたくしをひとりになさらないでくださいまし」 「地下室までだよ」 信三はじっと昌子を見ながらこう云った、 「……今夜のために取って置いたシャンパンがあるんだ、もうその機会もあるまいと思っていたが、役に立った、二人だけで祝おう、すぐ戻って来るよ」
「四年間」山本周五郎(青空文庫)
原文を読む
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