妖星人R(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
彗星とともに来た蟹怪人
- ミステリ
- 冒険
- 文字数
- 74,948字
- 読了目安
- 約2時間30分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 千葉県
- 東京都
この作品について
江戸川乱歩が光文社の月刊誌「少年」に1961年(昭和36)に連載した、少年探偵団ものの長編(4月号は休載)。ネジのように回る光の尾をひく不思議な彗星が発見された夜、千葉県の漁師町にカニそっくりの怪物があらわれる。美術館の美術品の盗難、人間が消されるという超常的な事件が続くが、舞台は宇宙人ものの装いをとった怪盗との知恵くらべである。晩年の連載のなかでも、SF的な空想と少年探偵団の冒険が結びついた一作。
あらすじ
イギリスの天文学者が、光の尾がネジのようにまわる奇怪な「Rすい星」を発見し、世界じゅうが大さわぎになる。そんななか、千葉県の漁師町に、カニの姿をした怪物があらわれ、少年・別所次郎の写生図が新聞に出て、東京にも「カニ怪人R」のうわさが広まる。怪人は岩谷美術館の館長・古山博士の書庫から貴重な推古仏を盗み、コンクリートの書庫から煙のように消えてしまう。カニ売りのじいさんに森へ連れこまれた少年探偵団員の井上君は、怪人の魔法によって、からだを消されてしまう。さらに美術館そのものが、一夜のうちに陳列品をねこそぎ盗まれる。井上君を救出した小林少年は、怪人のすみかから脱出し、明智探偵は怪人の正体を見やぶる。妖星人Rの正体は、宝石どろぼうの怪人二十面相の変装だった。手錠をかけられて護送車に乗せられた二十面相は、壁から手を出すという奥の手で逃げだす。その後、小林少年はおばけやしきに潜入して、メフィストと名のる二十面相と対決し、青黒い液体の正体であるカニの大群や、空から舞い降りるカニ円盤の恐怖にさらされる。明智探偵の駆けつけで形勢は逆転し、庭に待ちかまえていた少年探偵団とともに、二十面相はあらためて取り押さえられる。
登場人物
- 小林芳雄 少年探偵団の団長
- 井上一郎 少年探偵団の団員
- 明智小五郎 名探偵
- 古山博士 岩谷美術館の館長
- 中村警部 警視庁の警部
- カニ怪人R 妖星人を名のる怪人(二十面相)
冒頭部(原文より)
はじめて、そのふしぎなすい星を発見したのは、イギリスの天文学者でした。そのすい星はいままでに知られている、どのすい星ともちがった、奇怪なすい星でした。 すい星といえば、天空のまい子のような星で、うしろに、ほうきのようにひらいた、白い光の尾をひいているのがふつうですが、こんどのすい星は、その光の尾が、ネジのように、グルグルまわっているのです。光のネジは、さきのほうほどふとい輪になって、それがゆっくり、まわっているのです。 発見されるとすぐ、その望遠鏡写真が、世界じゅうの新聞にのり、大さわぎになりました。各国の天文学者は、大望遠鏡にしがみついて、そのすい星をしらべました。
「妖星人R」江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
「いや、それには、小林君が、この家をみつけたこと、用心ぶかく、ぼくに電話をかけてくれたこと、これをわすれてはいけない。」 「うん、小林君や、少年探偵団の諸君にもお礼をいうよ。」 中村警部は、にこにこしながら、ちょっと首をさげてみせるのでした。 「明智先生ばんざーい……、小林団長ばんざーい……。」 少年たちは、声をそろえて、ひごろから尊敬する、ふたりのばんざいを、いきおいよくとなえるのでした。
「妖星人R」江戸川乱歩(青空文庫)
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