枠物語とは
- 分類
- 文体・技法
- 読み
- わくものがたり
ある物語の外側に、別の物語を設けて、その中でさらに物語を語る構成。外側の物語を「枠」、その内側の物語を「中の話」と呼ぶ。額縁小説ともいう。代表例は『千一夜物語(アラビアン・ナイト)』で、王に殺されないために、シェヘラザードが毎晩物語を語り続けるという枠の中に、「アラジンと魔法のランプ」や「船乗りシンドバッド」など数多くの物語が収められる。ボッカッチョの『デカメロン』は、ペストを避けて郊外に集まった十人の男女が十日間語り合う形をとり、チョーサーの『カンタベリー物語』は、巡礼の旅の道中で語られる形をとる。日本の古典では、平安時代の歴史物語『大鏡』が、雲林院の菩提講に集まった大宅世継と夏山繁樹という二人の老人が、若侍を相手に昔語りをするという枠のもとに、藤原道長に至る歴史を語っている。近代でも、岡本綺堂の『半七捕物帳』は、老いた半七が若い聞き手に昔の手柄話を聞かせるという枠を持ち、江戸川乱歩の『押絵と旅する男』は、汽車の中で出会った男が語る不思議な話を、語り手がさらに読者に伝える二重の構成をとる。外側の物語が、中の話の意味を照らし返したり、語り手の人柄を伝えたりする効果がある。また、聞き手の反応や語りの場面を描くことで、中の話の真偽を読者に考えさせたり、遠い昔の出来事を身近に感じさせたりする働きもある。
関連する用語
この用語に関わる作品
- 大鏡
- 半七捕物帳 お文の魂 1917年(大正6年)1月
- 押絵と旅する男 1929年(昭和4年)6月
- アラビヤンナイト アラジンとふしぎなランプ
- アラビヤンナイト 船乗シンドバッド