短編小説・長編小説とは

分類
形式・ジャンル
読み
たんぺんしょうせつ・ちょうへんしょうせつ

小説を長さによって分けた呼び名。はっきりした基準はないが、日本ではおおむね原稿用紙数十枚までを短編、数百枚以上を長編、その間を中編と呼ぶことが多く、さらに短いものを掌編という。短編は一つの出来事や場面、人物の一面に焦点をしぼり、一度で読み通せる長さのなかで印象を凝縮させる。アメリカのポーは、ホーソーンの短編集を論じた書評(1842年)で、一気に読まれる短い物語は「単一の効果」を生むことができると説き、近代短編の理論の祖とされる。19世紀後半には、フランスのモーパッサンが鋭い観察と巧みな結末で、ロシアのチェーホフが劇的な事件を抑えた日常の断面で、アメリカのオー・ヘンリーが意外な結末で、それぞれ短編の名手として知られた。日本では明治末から大正にかけて雑誌が短編の主な発表の場となり、芥川龍之介は古典に材をとった緊密な短編で文壇に登場して、完結した長編を一つも残さなかった。梶井基次郎も短編だけを残している。長編は、多くの人物と長い時間の流れを抱えこみ、社会や人生の全体を描くことのできる形式で、ドストエフスキーやトルストイの作品がその典型とされる。日本の近代の長編の多くは新聞小説として連載され、夏目漱石の後期の作品や、島崎藤村の『夜明け前』、中里介山の『大菩薩峠』のような大作が生まれた。

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