戦争文学とは

分類
形式・ジャンル
読み
せんそうぶんがく

戦争を題材とし、戦場や兵士、銃後の暮らしを描いた文学の総称。近代日本では、明治27〜28年(1894〜95年)の日清戦争で、国木田独歩が従軍記者として弟に語りかける形の通信(のち『愛弟通信』)を「国民新聞」に送ったのが早い例である。明治37〜38年(1904〜05年)の日露戦争では、旅順攻囲戦に加わった軍人・桜井忠温の『肉弾』(明治39年)が広く読まれ、軍医として従軍した森鴎外は詩歌集『うた日記』を残し、与謝野晶子は旅順にいる弟を案じる「君死にたまふことなかれ」を「明星」に寄せた。夏目漱石の『趣味の遺伝』は凱旋の風景から書き起こされ、従軍記者だった田山花袋の『一兵卒』(明治41年)は、病を得て隊を追う名もない兵士の姿を即物的に描いた。大正期には南部修太郎の『一兵卒と銃』が軍隊生活の一こまを切り取り、シベリア出兵に従軍した黒島伝治の『渦巻ける烏の群』(昭和3年)は、反戦の立場から兵士たちを描いた。日中戦争が始まると、徐州作戦の従軍記である火野葦平の『麦と兵隊』(昭和13年)が百万部を超えて読まれた一方、戦地の実態に触れた石川達三の『生きてゐる兵隊』は掲載誌が発売禁止となるなど、戦時下の表現は厳しい統制を受けた。戦後には、梅崎春生の『桜島』のように自らの軍隊体験を見つめ直す作品が戦後派から現れ、戦死した詩人・竹内浩三の『骨のうたう』も遺された。広島・長崎の被爆を描いた作品は、原爆文学と呼ばれる。

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