関東大震災とは

分類
その他
読み
かんとうだいしんさい

大正12年(1923年)9月1日午前11時58分、相模湾北西部を震源として起きたマグニチュード7.9の大地震と、それに続く大火災による災害。東京・横浜を中心に死者・行方不明者は約10万5千人にのぼった。混乱のなかで流言が広まって多くの朝鮮人や中国人が殺害され、大杉栄と伊藤野枝が憲兵に殺害される事件(甘粕事件)も起きている。二人が共訳したファーブルの『科学の不思議』は、震災の前月に刊行されたばかりだった。文学者たちはこの災害を書きとめた。芥川龍之介は直後に『大正十二年九月一日の大震に際して』をまとめ、泉鏡花は『間引菜』『十六夜』で被災後の町の夜を描き、物理学者の寺田寅彦は一年後に『流言蜚語』を書いて、流言の広がり方を科学者の目で論じた。獄中で揺れに遭った体験を書いた葉山嘉樹の『牢獄の半日』、震災後の夜警の町を舞台にした甲賀三郎の『琥珀のパイプ』、震災で母を失った堀辰雄の『幼年時代』など、作品の背景となった例も多い。震災は文学の地図も塗り替えた。江戸の名残をとどめた下町の多くが焼け、久保田万太郎の『春泥』のように、変わりゆく東京を見つめる作品が生まれた。谷崎潤一郎は関西へ移り住み、作風を大きく変えていく。復興して近代都市へと姿を変える東京を背景に、翌大正13年には新感覚派の「文芸時代」が創刊されてモダニズムの文学が興り、打撃を受けた出版界は、大正15年に始まる円本の流行で息を吹き返した。

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